文系の僕がAI開発企業で何をしているか

こんにちは。キスモ取締役の鈴木雄也です。

今日は技術ブログの中でも少し趣向を変え、弊社唯一の文系出身役員である僕が
「文系・非エンジニア・非AI専門家がどうAIに向かい合うか」について、書いてみようと思います。

▶︎ビジネスでのAI開発はチーム戦!?

データサイエンスや人工知能分野の重要性は、みなさんご存知の通りかと思います。
インターネット、スマートフォン、そしてIoTといった分野の発展が世の中に発生するデータ量を圧倒的に増やしており、それを扱うためのデータサイエンス技術は日に日に加速している状況です。

人工知能に関する仕事、といっても実態は非常に多様です。例えば研究職とは違って、ビジネスでは必ずしも先進的な発明が求められません。先進的な技術はあくまで手段であり、目的は顧客の課題解決です。メディアで扱われる人工知能のニュースでは、研究成果とビジネス製品が混同されるように感じますが、実態は別物と捉える方が分かりやすいです。

ビジネスの中でも、職種は多様です。誰も想像するようなデータサイエンティスト、分析の職種以外にも、コンサルタント的な能力、マーケター的な能力、あるいはプロダクトマネジャーやエンジニアリング、デザイナーの能力に加えて法務知識までが求められることがあります。

一言で人工知能のビジネスと言っても、中でやっていることは非常に多様で、これらの能力をすべて持ち合わせた上で高度に両立できる人はほとんどいません。そこで、AI開発は多くの場合、顧客企業の担当者を含めたチーム戦になります。
AI開発がチーム戦だからこそ、非エンジニア、非データサイエンティストの能力が求められることもあるし、文系にとってAI開発は他人事ではなくなってきています。

 

▶︎製品開発で文系ができること

f:id:kodamayu:20171117130539j:plain

エンジニアとの社内ミーティング(イメージ)

ビジネスでのAI開発について、もう少し書いてみます。

人工知能分野に限ったことではないですが、顧客の業務理解と、自社の技術力の狭間に、課題を解決できる製品のアイデアは眠っています。

開発を始めるときには、「そもそも何を創ったらユーザーは喜んでくれるのか?」という問いにまず突き当たります。そしてこの問いに答えを出す能力は、必ずしも技術力の高さに比例しないと感じています。(もちろんあるに越したことはないです!)

そして製品のイメージが立っても、それをビジネスにしようとすれば、戦略や組織、資金など多様な要素を複合的に考えなければなりません。プロダクトマネジャーや事業責任者は、技術だけでなく、こうした多様な要素を組み合わせて考えながら開発の方向性を決め、推進していきます。

そしてこうした能力もまた、技術力の高さとの関連性は必ずしも高くありません。(もちろん技術への理解がないと困ることがたくさんあります!)

 

顧客のニーズを把握し、商売の仕組みをつくる、といった課題に対しては、
文系ができることもたくさんあります。


▶︎営業の場面で文系ができること

人工知能分野に限らず一般的にも、製品開発の初期は特に営業(もしくはマーケティング)と開発が事業の両輪になることが多いと思います。
そのため製品開発と重複する部分も多いのですが、営業の現場でも文系ができることがあります。

AI開発をビジネスにすると、想定するユーザーは企業、つまりBtoBビジネスを前提にした開発になることがほとんどです。

そしてSaaS事業などと似て、顧客の事業、顧客の業務を深く理解することが開発方針の決定には欠かせません。

技術のユニークさを生かして、かなりニッチな業種のニッチな業務を効率化するといった場面もあり、いわゆる顧客理解の能力が必要とされます。

f:id:kodamayu:20171117130717j:plain

営業先でのプレゼン(イメージ)

顧客理解と同じく重要なのは、技術のパフォーマンスを顧客に正しく理解してもらうことです。AI技術に過度な期待をされること、または逆にAI技術の可能性を低く見積もってしまうビジネスパーソンが実際にはほとんどです。こうした認識のズレを放置して開発をしていると後々致命傷になってしまうため、できるだけ入り口で修正することが必要になります。こんな時、技術のパフォーマンスや応用可能性を、概念と実例を交えながら正しく伝え、相手のアイデアをうまく引き出す能力が求められます。

もちろん細かい開発の論点に突っ込んでお話をするときには限界があるので、データサイエンティスト自らが営業に出向くことも少なくありません。しかし営業の現場では、開発の上流フェーズであればあるほど、文系にもやれることがあります。

 

顧客の業務を理解し、顧客に技術を理解してもらう、といった課題に対しては、
文系ができることもたくさんあります。


▶︎結局文系でもAIビジネス、できるのか??

文系でもAIビジネスなんてできるの?ってよく聞かれるのですが、
この問いは「エンジニアじゃなくてもITでビジネスできるの?」って問いに似ていると思います。

 

つまり、文系でもAIビジネスはできます。

 

もちろん技術への最低限の理解は必要で、かつ深ければ深いほど強いのですが、
かといって「文系の自分には縁がないことだ」とAIビジネスへの関わりを諦めてしまうのは、あまりにもったいないと思います。 

日本でAIの社会実装が進むためには、つくる側にも使う側にも、業界の垣根を超えた参画が進んでほしいです。

人工知能を専門家任せにしている時代は終わりました。専門家を中心に置きつつも、もっと多様な専門性の人材が開発に携わることで、可能性はもっと広がります。
例えばAI導入を目指す企業の内部にAIに理解のある意思決定者がいると、プロジェクトの離陸は圧倒的に早くなり、ここから回るPDCAが経験として蓄積することで、大きな資産となるのを見てきました。

 

それと同時に、専門家の知識量や経験に、リスペクトを持つことも重要なことです。
僕自身も業務内外で分からないことが出てきたら、社内のデータサイエンティストを質問攻めにしています。

結局のところ、技術を理解するためには専門家に聞いた方が早いし、専門家と働いたり、専門家に頼んでしまうのが手触りを持って理解できるのだろうと思います。
弊社では、多様な業種の企業様と共に「そもそもAIで何ができるんだ?」といったかなり上流の議論からお付き合いさせて頂いています。

その過程では、非専門家にもやれることがまだまだ多く、そして非専門家の役割はこれからもっと広がるだろうと感じます。

 

AI活用に漠然と興味のある企業様、AIビジネスに漠然と興味のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

 

 

もっとキスモのことを知りたい方は
こちらをご覧ください!

www.kysmo.tech